模様の都市 プロジェクト

(For Pattern City Project Blog in English)

子供の興味をピリッと刺激・わくわく発見!ブログ:子ども達の英会話を促進する

環境と相互関係(様々な物・事の繋がり)を把握する

 

まず初めに前回のプロジェクト(ファッションプロジェクト)のブログからの引き続きである、環境が「もう一人の先生となる」という事をわかりやすく説明します。

レッジョでは環境を「第3の先生」と呼びます。現場にいる先生は常に「児童たちにとって最も効果的な環境とはどういう状態なのか」を追求する必要があります。他のレッジョのプロジェクト同様、今回のプロジェクトも例外ではなく「第3の先生」と関わりながら、身近な環境の中に隠れている様々なパターンを発見していくのです。

 

ここで重要なのは現場にいる先生の手助けなく、児童が先導する形で行うということです。このことを通して環境を敵対することなく、サポートしてくれるものとして認識し、環境との関係を良好かつ確固たるものにしていくことができるのです。

 

ステージ1

「模様の都市プロジェクト」の始まりについて

 

このプロジェクトは機織りプロジェクトにおいて児童が生地の模様に興味を示してことから始まりました。自由遊びの時間を利用して、模様というものは他にどこに存在するのかを探しに行くことにしました。

 

それと同時に、他の児童たちは大きなブロックを使用してタワーを作り始めました。児童は自分を中心軸(建物の中にいる状態)にして建物を立てました。すると程なくして今度は他の児童がお箸を使用して同じような建築物を建て始めました。そうしていくつものタワーが出来上がった頃、「これは何の建物ですか?」と解いてみたところ児童は口々に「これはホテルだよ。」「これはビルだよ」と教えてくれました。すると二つに分かれて作業していたグループが交流しはじめ、ここから模様の街の始まったのでした。

 

木製のブロックでタワーを作り始めた複数の児童たち

木製のブロックでタワーを作り始めた複数の児童たち

 

ステージ2

計画と物流

 

模様の都市を作るために児童たちと先生はまずインターネット上で研究をしました。彼らは世界中の都市を見て、その中でもシンプルな都市の地図を印刷して、都市構造の理解を深める為に使用することにしました。多くの児童たちは、河川や山々の流れに沿って都市が掘り起こされていることに魅了されました。これにより、河川、道路、樹木、交通灯、建物などを独自の観察と理解で描き足していきました。

地図が児童の観察をサポートします

地図が児童の観察をサポートします

それぞれの児童は異なる解釈をします

それぞれの児童は異なる解釈をします

 

その後、ディレクターの一人がバンドソーの木製ブロックを切り取り、無作為にベニヤ板(ディスプレイボード)に置き、基本的な街のアイデアを構成しました。

その後、児童たちは外へ出て地域を探索し、ゲート、フェンス、階段、コンセントカバーなどのさまざまな模様をなぞって複写する作業をしました。その後保育施設に戻って、両面テープを使ってこすられた模様を木のブロックに貼り付けました。

ゲートに紙をあててクレヨンでなぞり模様を写し取る児童

ゲートに紙をあててクレヨンでなぞり模様を写し取る児童

 

その後、児童たちはディスプレイボード上の木製のブロックを並べ替えて、独自の都市を作りました。大きなウォータータワー、学校、シャツと靴の工場、大型マンションを作りました。南極にも建物を立てました!児童たちはお箸でできた大きな建物を追加し、綿棒を使ってさまざまな模様を描きました。

模様が描かれたお箸の塔

模様が描かれたお箸の塔

 

その後、都市を大きくするためにディスプレイボードのサイズを広げることに決めました。 使用したボードは大人のベッドほどのサイズまで大きくなりました。児童たちは手持ちの紙材料を使ってディスプレイボードを覆いました。これによりディスプレイボードは茶色のチェック模様になりました。その後、児童らは道路(紙の切れ端)、信号機(塗装された木とシール)、模様を貼り付けた建物を並べました。1日を通して様々な物をディスプレイに追加することに誰もが興奮しているようでした。

信号機製造中

信号機製造中

続いては道路

続いては道路

児童は何をどこに配置するか互いに交渉します

児童は何をどこに配置するか互いに交渉します

 

ステージ3

視覚化

 

今までプロジェクトは主に物流に注目して進めてきましたが、児童に仕事とお金の話をすると児童によって話が発展していき、興味がより沸いてきたことが目に見えました。

 

児童らはそれぞれに役割を割り当て始めました。そして、彼らはこれを実際のシナリオとしてこれらの役割を演じ始めました。話はこんな感じで始まります。あるの男の子が 「病気になった」と 「市の医者」役の別の子供を頼って尋ねました。彼は市の医者にお金を払いましたが、病院の電灯が消えたので市の医者はその金を電気技師(また別の子)へ渡しました。電灯を修繕した後、電気技師は空腹になり今度はパン屋に行って食べ物を買いました。しかし、パン屋はすぐに小麦粉がなくなり、農家にお金渡しました。すると農夫のトラクターが壊れ、彼は整備士にお金を費やさなければならなくなりました。この後すぐに整備士のペットの猫が病気になって獣医に行かなければなりませんでしたなどと続きました。児童たちが話を続けて行くうち、最終的にお金を最初に払った「病気の少年」へお金が戻るところまでたどり着きました!

 

事実の後で学習を検証することは私の意図ではありませんが、これは現実的にどのようにして資金が流れているかを示す完璧な実例であり、それを子どもたちが理解しているということを演劇を通して知ることができました。教師の私たちは演劇が楽しい学習の強力な形式であることを知っているとともに、それをないがしろにしてはいけないことも理解しています。

 

今回のことで金銭の繋がりが都市における人間関係を構築する材料になっていることを児童が理解している事も明らかになりました。

 

児童らを囲む環境の中に潜む目で見ることのできる模様を発見したばかりでなく、目で見ることのできない環境内における重要なパターンを発見しました。おそらくこれらは合理化ですが、私がここで特筆したいのは、児童たちは、適切な条件が存在するとき、より高いレベルのグループ理解を発見できることを示しているということです。グループで行うプロジェクトには個人だけでは見えない理解できないことを明らかにする力を秘めています。

 

私は、意味を構築するという本来の性質は、目では見えない物事の関連性を視覚化する心の能力によって見出されると思っています。この相互関係の観点は、レッジョでは非常に重要です。そして、これはどのレッジョ教師にも必要な見解なのです。

 

 西洋で成長した多くの人は、個々の事柄を分けて見る傾向がありますが、我々の学校では可能な限り個々の事柄の間に存在する多くのつながりを見つけることの重要性を指摘したいと思います。このようなプロジェクトワークを足場として使いながら児童が独自に繋がりや物事の意味を見出して行く姿を見ることでレッジョの教師の役割を果たせているように感じられます。

 

相互接続に関するこの理解を強化するために、私たちは繰り返し都市を壊し、異なるシナリオの下で再建しました。あるバージョンではビーチを作り、魚を捕まえてレストランに持って行くことができるように、児童がもっと道を築きました。また、都市で経験できるさまざまな活動をあげ、これらの活動を容易に行う為に必要な交通網を考えました。そしてまた、都市のランドマークを使用してグループで独自の冒険物語を作りました。我々の都市建設は、児童たちにさまざまな角度から創造的な焦点を合わせる手段としての、役割を果たしていました。

デザインを柔軟に保つ事で(変更可能な形にする)都市の再構築を可能にして、将来的に新しいディスカッションや学びに対応できる様にしてます

デザインを柔軟に保つ事で(変更可能な形にする)都市の再構築を可能にして、将来的に新しいディスカッションや学びに対応できる様にしてます

児童によって線路と気が追加されました

児童によって線路と気が追加されました

道路標識と車両も加わりました

道路標識と車両も加わりました

追加された線路と車両などの公共交通機関が大都市においてどれほど重要な役割を果たしているかという議論へと発展しました。児童は自分で繋がりを見出し、好みのバスの路線を描く事でイメージしていたものを確固たる形にしました。(これと同時進行でバス停なども制作しました。)三次元の都市を製作したことによっていろんな角度から物事を捉え考える機会を与えてくれました。横に寝そべって都市を見たりもしました。さらには「鳥の目線」、様々な角度から写真を撮影し、近距離、長距離から都市を眺め新たな発見をしました。次のプロジェクトに繋がる材料がたくさん得られました!

子ども達は大きな建物や樹木などを加えました。

子ども達は大きな建物や樹木などを加えました。

横断歩道を加え、発泡スチロールを使用して標識が倒れないように工夫しました。

横断歩道を加え、発泡スチロールを使用して標識が倒れないように工夫しました。

楽しさ満載で満足の出来です。子ども達はこの体験から沢山の事を本人も気づかないうちに学んだことでしょう。

楽しさ満載で満足の出来です。子ども達はこの体験から沢山の事を本人も気づかないうちに学んだことでしょう。

 

概要

 

さて、より広範囲の視点からこれを見てみましょう。児童たちが行うレッジョのプロジェクトは、実生活をシミュレートする方法なのです。日々の生活の中で、私たち大人はいつも何らかのプロジェクトを定期的に行っています。友人との遊びを計画したり、子どもの誕生日パーティーを計画したり、家族と過ごす海外旅行を企画したりしますよね。これらはすべて実生活に則したプロジェクトであり、それぞれ異なる様に見えて実は同じパターンの考え方則って計画できる事柄なのです。アイデアを研究し、計画し、行動を起こす事、これは大人の日常なのです。従って、我々がやりたいことは、幼い頃からこれらの概念をしっかりと把握させることです。プリスクールでは、今回の様なプロジェクトを通じて児童が確固たる習慣を発達するまで、毎日の様にこれらのレッスンを行います。

 

非常に若い年齢において忍耐、決意、目的、組織に必要な習慣的思考を発達させます。これは、子どもたちが成長するにつれて毎日学ぶ必要があるものであり、これらの思考スキルは高校や大人の生活に非常に役立ちます。環境そのものがあなたの友人や教師になれば、あなたが成長する過程において、常にあなたの側に先生/友人や資料があるということなります。これによりあなたは常にサポートされていると感じられる様になるでしょう。

 

将来的に身の回りにある利用可能なものを最大限に活用する方法を見出す力を身につけた大人に成長することができます。つまり自立し、豊富で豊かな人になれるのです。

 

 

自宅でできること:

 

まずは牛乳パック、マッチ箱、そしてその他のあなたの家にある様々な種類のパッケージを集め始めます。この特別なプロジェクトのために1つの場所に集めてください。ペットボトルのふた、アイスの棒、お箸など他のアイテムもあると便利です。

 

次に自宅に大きな郵便別が届いた時にはその大きな箱を捨てずに取っておいてください!中身が空になったら平らにして、縁を整えます。(もしくはお子さんがその奇妙な形の物体でどのように遊ぶかを見るために置いておいてもいいでしょう)。

 

お子さんに、自分の街を空から見下ろした時の絵を紙か、平らにした箱に直接描いてもらいましょう。この過程では、川や山のような有益な自然景観の周りにどのように都市が建設されるのかを示してあげましょう。「この環境の中で人々が生活するのに必要なものは何かな?」などの答えが無限にある質問をして繋がりに気づける様に導いてあげてください。

 

平らな箱をテーブルの上に置いてください。お子さんがいつでもそれに取り組むことがでる場所に設置することが理想です。建物に好きなデザインを描きます。 (最も簡単な方法は、ミルク/ジュースパックを紙で覆うことです)絵の具、ペン、クレヨン、さまざまな形に切り取ったクラフト紙など、さまざまな媒体を使って試してください。お子さんと一緒に創造的になって行ってくださいね!ipadから目を離して意味のある遊びに集中させるいい機会ですよ!